年間経済損失12兆円の社会課題の解決に挑む株式会社LEXAR
弊社SaaSであるXERVは、世界で始めてデジタル化プロセスをデジタル化することに成功したイノベーションです。
デジタル化の課題構造

デジタル化は多くの組織でその取り組みが行われているが、多くの課題を抱えているのが現状である。議論を進めやすくするため、この課題を構造化して話を進める。上の図は、システム開発運用業務を開発工程、運用工程、ガバナンスという3つの時間軸的視点を一つの軸とし、リスク、人財、ベネフィット、コスト、タイムという5つのマネジメント視点をもう一つの軸として、それぞれを掛け合わせた計15の視点の課題を図式化したものである。それぞれの課題は互いに独立しているように見えるが、実際はほぼすべての課題は関連しており、紫色枠内のブラックボックスサイクルに課題の震源地がある。課題の震源地であるブラックボックスサイクルは、システム開発運用プロセスがアナログであるがゆえに発生するものであり、このサイクルによりブラックボックス度は増幅していき、上記15の観点の課題も、このブラックボックスの悪化サイクルに沿って、その状況が悪化していく。
増幅するブラックボックス

【キーマンネック】
システム開発では、優秀な一部のメンバーがキーマンとなり、そのキーマンがネックで他のメンバーの作業が進まない状況が度々発生する。
キーマンネックの多くは、ブラックボックスに起因する。理由は後述するが、キーマン以外のメンバーは、仕様を把握しようとするが、仕様書を見ても把握出来ない。これによりキーマンにいちいち聞くしかなくなり、キーマンがネックとなる。
【ブラックボックス】
システム開発運用業務は、システム仕様を中心に業務が遂行される。その肝心なシステム仕様が、アナログなEXCEL管理であるため、デジタル化するための業務プロセスはアナログであるという、冗談のような状況になっている。
これだけ大規模にかつどこの会社でも遂行される業務にも関わらず、いまだにアナログな業務プロセスである業務は他に存在するであろうか。システム開発運用プロセスは、世界最大にして最後のレガシー業務プロセスと言える。
一方でこうした状況をチームコミニケーションで乗り切ろうという組織もあるが、これは人数が少ない場合でかつ企業が自社で内製するような組織が1つであるケースに限られる。
このような時代遅れなアナログ管理手法は、システム仕様が非常に複雑であるということに起因してデジタル化されてこなかった。アナログな管理手法は、数百のEXCELファイルに数千のEXCELシート、執筆する人によって異なる記載レベルにより、全体を把握することは困難を極めた。更に全体を把握しないままにシステム改修が進み、更に把握の難しい仕様書が増え、結局役に立たないと仕様書を更新することもやめてしまう。このように改修の度にブラックボックス化は悪化していき、経産省が毎年12兆円の経済損失と「2025年の崖」で警鐘を鳴らすに至っている。「2025年の崖」は2018年に発表されたものであるが、この問題は未だに全く解決されていない。
【生産性低下】
システム仕様がブラックボックスな状態で、かつ仕様を知っているのはキーマンのみ。その状態で新規メンバーが参画しても期待される生産性を発揮できる訳がない。ありがちなのは、トラブルになってからメンバーを増員するが、全く生産性が上がらず状況が改善しないケースである。ただでさえ忙しいキーマンは更に多忙を極め、キーマンがダウンすることでプロジェクトが完全に破綻するシナリオが最も避けたいシナリオである。
このように生産性の低下は雪だるま式にその低下度を高め、トラブルになると無駄なコストを湯水のように投下していくことになる。こうしてよくあるSIerの数十億規模の赤字プロジェクトが形成されていく。
【肥大化】
生産性を上げられる訳もない状況で投入された新規メンバーはシステム改修を極力既存資産に影響させないように改修しようとする。仕様の全体像を把握する手段を持たない新規メンバーにとって、それ以外の選択肢はないであろう。しかしこの行動により、最適な仕様構造とは程遠い仕様になってしまうことは想像に難しくない。こうして無用な肥大化が発生し、この部分について新たなキーマンが発生する。
躍進する生産性向上サイクル

アナログだった開発運用プロセスをデジタル化することによって、これまで課題の震源地だったブラックボックスやキーマンネックが解消する。これにより、生産性が次々に向上し、肥大化していたシステムはどんどん最適化されるという好循環になっていく。
【全員がキーマン】
システム仕様がデジタル化されることで、新規メンバーを含むプロジェクトメンバー全員が必要な情報を必要な時に必要な粒度で手にすることが出来る。これにより特定のキーマンに依存することなく、各々がパフォーマンスを最大限に発揮することが出来るようになる。
【ホワイトボックス化】
システム仕様が完全に構造化されてホワイトボックス化されることで、プロジェクト関係者や運用関係者、ガバナンス関係者、経営者など全てのデジタルを取り巻く人々は可視化された情報空間を共有する。
これまで世界最大にして最後のレガシー業務だったシステム開発運用プロセスは完全にデジタル化され、まさにデジタルトランスフォーメーションする。
【生産性向上】
個々の生産性は、これまでのような生産性を下げる障壁が無くなるため、最大化する。これまでの開発プロジェクト、運用オペレーション、ガバナンスでは人に如何にうまく説明するという作業に膨大なコストが割かれてきた。可視化された情報空間を共有する世界観の中では、このような作業は激減し、チーム(組織)全体の生産性は格段に向上する。
また、完全に科学的に構造化されて共有される情報空間により言語や文化の壁は消滅する。これにより、人財獲得の幅が広がり、様々な世界の専門性を広く活用できるようになることで各企業や組織が行いたいデジタライゼーションを加速することが出来る。
【最適化】
可視化された情報空間を共有する世界観の中では、各々が最高で最適なパフォーマンスを発揮しなければすぐに他の関係者に明らかになってしまう。科学的に構造化された中では、仮に新規機能の追加開発1つとっても、開発プロジェクトは一つの数学的問題を提起されており、各々のプロジェクトメンバーはその問題を解くことを求められる。仮にその説いた結果が、本来の答えと異なる場合、その答えが間違っていることは全関係者に情報空間を通して共有されてしまう。従って、情報空間を共有する各々が最適な解を導き出さざるを得ない状況に自然となっていくため、可視化された情報空間を共有する世界観の中では、システム仕様や組織は自然と最適化される方向に収束していく。
デジタル競争社会の勝者
課題の震源地が、生産性の好サイクルに変わったことでマネジメント課題はあらゆる面で改善する。システムは改善し、人財は育成され、組織としてデジタルネイティブな組織へと変貌していくことでデジタル競争社会の勝者となる。

【リスクマネジメント】
設計・製造・テストなどすべての作業工程は完全に科学的に構造化されたシステム仕様と関連付けられるため、何らかの数値化が可能となり、生産性と品質の管理性が向上することでプロジェクト全体の品質が向上する。
開発プロジェクトでは、これまで達成すべき品質水準が曖昧であったため、開発フェーズの品質が低いまま運用フェーズに突入してしまい、運用品質が低下するケースがあった。しかし、先述の品質向上により、このようなことは起きにくくなり、運用品質が向上する。運用品質が安定すれば運用メンバーの稼動負荷は低減し、運用改善に取り組みやすくなる。
このようにシステム品質はそのライフサイクルを通して安定し、安定が更なる安定を導く。
【人財マネジメント】
旧来のシステム開発では、システム仕様理解をキーマンに依存していたため、システム企画はシステム仕様を理解しているキーマンに依存する所が多かった。可視化された情報空間を共有する世界観の中では、特定のキーマンに依存することは無くなり、全員がキーマンになるため、全員が可視化されたシステム仕様全体像を見て企画案を出せるようになる。
開発マネジメントについては、システム仕様のブラックボックス化は、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーに十分な情報量を与えず、情報不足の中で状況判断を行う必要性を迫ってきた。これにより、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーには、豊富な経験値が必要とされてきた。可視化された情報空間を共有する世界観の中では、経験よりも数学的論理能力が重要となり、若手でも能力が高いものは活躍できるようになる。
システム運用の人財育成は、そのモチベーション維持向上に課題があった。目先の障害対応など問題を起こさないことに忙殺されていた運用メンバーは、可視化された情報空間を共有する世界観の中で、システム開発の品質向上による運用品質の向上から運用改善するチャンスと時間に恵まれるようになり、モチベーションの向上と向上した企画力を手に入れることが出来るようになる。
このように開発と運用が連動した人財育成の好循環により、将来目指すべき人材像の確立、キャリアプランの構築、適正で公正な人事評価、ギャップの無い採用計画などを実現出来るようになる。
【ベネフィットマネジメント】
開発したシステムが想定と異なるというよくあるすれ違いは、要件定義という言葉の曖昧性にある。一般に業務フローなど概要レベルの定義を要件定義として、基本設計から請負にしてベンダーに委託してしまうと工数を大きく左右する要素を請負契約の中に入れ込んでしまい、工数を下げようとするベンダー側と自社に欲しい機能にしようとする発注側の綱引きが発生する。
これは、非構造的でブラックボックス化したシステム仕様が原因といえる。仕様全体像がつかみにくいため、断片的な仕様調整になってしまい、お互いが同じ可視化された情報空間を元に議論しないために、行き違いが生じやすい。
システムは開発フェーズを終えれば終わりではなく、むしろそれは始まりともいえる。運用フェーズでも継続的に改善点は出てくるし、外部環境も変わる。迅速で適切な改善は、これまでのブラックボックス化していた開発運用スタイルでは難しかった。すべてのメンバーが同じ情報空間の中で議論することで、あらゆる改善が提案され、迅速にかつ適切に実行される。これにより、リリース後も継続的に価値を提供し続けられる。
このような継続的な価値創出は、システムの世界でこれまで出来ていなかったKAIZENを実現し、デジタル競争社会の勝者へと導く。
【コストマネジメント】
ブラックボックスに起因した生産性低下と、生産性低下に起因したシステムの肥大化、それらによる開発期間の長期化は開発コストの増幅を呼んできた。
また、これらの理由に加えてキーマンの確保のため、保守費や改修費用は高騰してきた。これら、ランザビジネスへの投下コストは、それが創出する価値に見合わないものになっていた。
可視化された情報空間を共有する世界では、生産性は向上し、肥大化は発生せずに、最適なシステム仕様となってくるため、開発コストの高騰は起きない。また、キーマンレスになるため、キーマン確保によるコスト高騰も無くなる。
【タイムマネジメント】
コストマネジメントとタイムマネジメントには一定の相関性がある。それは工数と時間に相関関係があるからである。タイムマネジメントはコストマネジメントとほぼ同様な課題解決構造をしているため、ここでの説明は割愛する。