クラウドがバズワード化してきた昨今、クラウドを魔法のようにコストが安く多くの先進的機能を具備していると捉えている方も多いように思います。

確かにそういう一面もあります。

しかし、クラウドの利用には注意も必要で、すべてのケースにおいて万能な訳ではありません。

本コラムではクラウドのメリットやデメリットをご紹介し、適切なクラウド導入の注意点をご紹介していきます。

コスト構造の違い

クラウドはコストが高い、いや安いという議論があります。

10年前自社サービスのプロダクトマネージャだった私は、この問いを明らかにしようと、当時の自社クラウドサービスとオンプレミスの価格構造を詳細に比較した経験があります。

当時からAWSは存在し、AWSの価格と自社クラウドの価格はほぼ同等でした。

クラウドはアウトソーシングの一種で、人件費も含まれています。この人件費も時間単位のコスト試算を行って比較しました。

その結果は、基本的に全く同一なコスト構造となりました。

基本的とは、1つだけ違いがあったことを指します。

それは、クラウドは企業からクラウドサイトまでの回線費用が発生することがオンプレミスと異なります。

自社に機器を置く場合は、別途回線費用はかかりませんが、外部データセンターを利用する場合と同様の回線コストがかかります。

コスト

1.機器コスト

サーバやネットワークなどの機器コストの初期コストはクラウドの場合はほとんど発生しません、その点ではビジネスの成長にリンクしてシステムリソースを使用できるため、ビジネスの成長とコストをリンクさせたい売上の見通しが読みにくいビジネスには適しています。

クラウドの機器コストは、長期間使用すれば使用するほど安くなります。

先ほどの試算も長期間使用した前提の試算です。

機器そのもののコストは長期間使用すればオンプレミスと同等となりますが、オンプレミスは一般的にすぐに拡張できないため、余裕を持ったサーバ構成とする場合が殆どです。

そうするとリソースに無駄が発生するため、ここではクラウドに軍配が上がります。


2.開発コスト

2.1.構築コスト

クラウドの費用は構築コストが織り込まれた価格になっています。

クラウドだから構築コストがかからない訳ではありません。クラウドコストに織り込まれているのです。


2.2.システム開発全体の開発コスト

クラウドの納期は非常に短期間であるため、オンプレミスと比較する意味もありませんが、実はクラウドの短い納期は開発コストに好影響を与えます。

好影響を与えると言っても、この恩恵を受けるのは基本的に大規模システムでかつ新規システムの場合です。

3.運用コスト

運用コストは最も注意が必要です。

例えば全社の運用コストを下げる目的で100システムの運用を賄っている運用要員5名を削減したいとします。

8割をクラウドに移行した場合、運用要員を1名に削減できるでしょうか。

1名だと病気でも休めないし、スキル的な不安も出てきます。

現実的には1名体制には出来ません。

そうすると全体としては割高になってしまいます。

つまり、このようにクラウドは運用体制を含めて中途半端に導入すると、かえってコスト高になってしまいます。

ちなみに5名の稼働率がすでに十分高い場合、全てクラウド化してもコストは同一レベルになるだけです。